妊娠力を高める生活を送ろうとするなら、ふたりのいる空間が快適であることがとても大切です。「快適な空間」とはどういうものでしょうか。家中ピカピカで、日光の差し込む明るくさわやかな部屋などは、確かに快適な空間をイメージします。しかし、ここで強調したいことは、物理的な空間のことではありません。精神的な意味での快適さ、身も心もリラックスできる空間ということも大切なのです。
たとえば、あなたの家は、ふたりともに「早く帰ってきたい」と思えるマイホームでしょうか。「不妊ルーム」のカウンセリングで、次のような状態になっているカップルに時々お会いします。奥さんが不妊治療に熱心すぎて、ご主人にはそれが強いプレッシャーになってるというケースです。ご主人のほうはきっと家路に向かう足が重たいにちがいありません。仕事で疲れて帰ってきて、ドアを開けたら奥さんが玄関で待っていました、なんて笑い事ではありません。「排卵日が近づくと憂鬱になる」「家に帰ると子どもの話ばかりで気が滅入る」とため息をついているとしたら、ご主人にとって我が家は快適空間とはいえないと思います。いっぽう女性のほうにも、自分の話を聞いてくれない、もっと真剣に考えてほしいと不満をもつ方がおおぜいいます。
私はよく「不妊の本はなるべく目の届かないところにしまって、必要なときだけ見るようにしてください」と言います。「確かにそうですね。知らず知らずのうちに、自分たちで勝手にプレッシャーをかけていました」とおっしゃった方がいました。
寝室の本棚にずらりと不妊関係の本が並んでいるとしたら、その寝室は女性にとっても男性にとっても、リラックスできる寝室であるはずがありません。これは1つの例ですが、こういう状態は、自分たちが気づかぬうちに陥っていたりするものです。
夫婦生活がなければ赤ちゃんができないのは当たり前のことですが、その前にセックスをしたいという欲求が高まらなければなりません。セックスしたいという欲求は、ふたりを取り巻くさまざまな環境や状況によって、アップ・ダウンします。
今、自分たちはマイホームで本当にくつろげているだろうか、どんな場所がお互いに好きか、コーヒーでも飲みながら、ゆっくりと話し合ってみてはいかがですか?
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私が「不妊ルーム」に通院されている方に、「健康的な生活をしていますか?」と問いかけると、「野菜は有機です」とか、「スポーツクラブに通っています」というような答えが返ってくることがあります。もちろん、そのようなことは、ある一面では「健康的」といえるのですが、本当に大切なことは、生活をトータルで見て、きちんとバランスの取れた暮らしを送っているかどうかということだと思います。
有機野菜での食事を実践し、週に3回ヨガ教室に通っているとしたら、それはいかにも健康的な暮らし方に思えます。でもその一方で、毎晩深夜までインターネットとにらめっこして不眠症気味、寝る前にはかならずお酒か薬が必要だとしたら、その人の暮らしはやはり健康的だとは言えないでしょう。
自然に反した生活、リズムが乱れた生活は、人間の体に気づかぬうちにダメージを与えることにもなりかねません。ホルモンバランスの崩れや、自律神経系の乱れは、「いつもどこかが具合悪い」という不定愁訴を生み出しかねません。
自分の身についた生活習慣を変えることは簡単なことではありませんが、ここで、自分の生活を見つめなおしてみてはいかがでしょうか。ちょっと不自然な生活をしているかな?と思い当たる方は、まずはできることから小さな1歩を踏み出してみましょう。あなたの生活の中に妊娠を遠ざけるものを見つけたら、取り除く努力をしてみましょう。
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健康的な暮らしというと、とても真っ当なことのようで、でもなんだか窮屈な感じがするような印象がありませんか? 早寝早起きの規則正しい生活、バランスのとれた食生活、お酒は適度に、タバコは厳禁、運動不足は改める……。こうあげると、してはいけないことのオンパレード、体によいことはわかっていても、これじゃあ息が詰まってしまいます。
ただ、あなたが妊娠を望むのであれば、やはりある程度暮らしの中に、節度と約束事を設けることは大事なことです。夜更しは誰にでもあります。でも、それが毎日では、体調を壊したり、ホルモンのバランスを乱すことになりかねません。友達とお酒を飲んで、パッと騒ぐのはとても楽しいものです。でも、それがほとんど毎日であったり、お酒を飲んで酔わないと眠れないというようであれば、それはライフスタイルを見直す必要があるのではないでしょうか?
みなさんに心がけていただきたい「健康な生活」とは、いわば「まっとうな生活」ということです。現代人は、この「まっとうな生活」というものが、なかなか送りにくくなってきているように思えます。
生活スタイルは人それぞれですが、時計の針が翌日になる前には眠る、食事は1日3食きちんと食べることなどは、ぜひ心がけていただきたいことです。睡眠と食事で毎日の生活に規則的なリズムをつけることは、女性のホルモンのバランスをよい状態に保つために大切なことなのです。
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精液検査を1回受けて結果が悪いと、自分は男性機能が劣っているのだと思い込んでしまう方がいます。こういう方は、再検査を受けることをおすすめします。精液検査は、体調や採取の状況によって大きく変動するのです。
女性も黄体ホルモンの検査で値が低いと、自分は黄体機能不全と思い込んでしまう方がいます。黄体ホルモンの値も生理周期とのかねあいで大きく変動します。この場合も、検査を受けた医療機関の医師に再検査をお願いしてみましょう。
ある医療機関で、片方の卵管が閉塞し、もう片方も通りが悪いといわれた患者さんがいました。その方は、自分たちには自然妊娠はありえないと思い込んで、別の不妊クリニックで体外受精を4回受けましたが、妊娠には至りませんでした。体外受精を受けた医療機関には、子宮卵管造影の設備がありませんでした。私は再度、卵管の通過性を確認するため、子宮卵管造影の設備のある医療機関に検査を依頼しました。その結果、卵管の通過性に問題がないことが分かりました。
それから2か月後、この女性は妊娠したのです。この方も通常の自然妊娠はのぞめないと、セックスレスに近い状態でした。卵管の通過性に問題がないとわかったことで、妊娠へのモチベーションが高くなったのだろうと思います。そして、ホルモンバランスもよくなったのかもしれません。
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スギ花粉症のシーズン中に「薬が効かなくなった」といって、医師のもとを訪れる鼻炎の人はたくさんいます。こういう場合、たいてい点鼻薬の使いすぎです。このような症状は「点鼻薬性鼻炎」などとも呼ばれます。これと同じように、不妊治療を受けて、不妊治療そのものがストレスになり、不妊症をますます悪化させてしまう「不妊治療不妊」の人がたくさんいます。
また、不妊治療を受けて、セックスレスになってしまうカップルも少なくありません。「不妊ルーム」のカウセリングでも、セックスレスについての相談をたくさん受けています。
不妊治療を続けていると、夫婦生活をもつことが、子づくりの目的のみに行われるようになりやすいということです。このような思考が芽生えると、セックスすることを負担に感じたり、セックスそのものを拒否することにつながってしまします。また、そこまでいかなくても、排卵日のみのピンポイント・セックスになっているカップルもよくいます。
不妊治療においてタイミング法を行う場合、医師はもっとも確率が高い日をポイントアウトしますが、このことは、ほかの日にセックスしてはいけないということを意味しているのではありません。それどころか、ほかの日にセックスしないと、妊娠の確率は低くなります。これでは、みすみす自然妊娠の可能性を狭めていることになり、何のために治療を受けているか分からなくなります。このような傾向は、何年間も不妊治療に通っている人ほど顕著になります。
私はこのように、不妊治療がストレスとなって、不妊治療不妊になってしまったり、夫婦仲が悪くなったり、セックスレスになったりといった、不妊治療によってネガティブな状態におちいってしまうことを、「不妊治療シンドローム」と呼んでいます。
こうした状態から抜け出すにはどうしたらいいか? そのためのひとつの方法として、不妊治療を一時休止することがあります。不妊治療が長引くにつれて、治療がステップアップするにつれて、患者さんのストレスが加速度的に増えていく場合が多いようです。患者さん自身、視野狭窄におちいってしまう傾向もあります。そして孤独感を強く感じている人がほんとうに多いのです。
しかし、不妊治療に強いストレスを感じたら、思いきって一度治療を中断してみることを考えましょう。「不妊ルーム」に来られる方には、「不妊治療を休んでみるのも不妊治療です」と、アドバイスすることがよくあります。そしてゆったりとした気分で、夫婦ふたりの生活をエンジョイしてみてください。そのほうが案外、妊娠に近づいたりするものです。
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