
●一般的不妊治療 【人工授精と3つの壁】
排卵に合わせて、精子を洗浄、濃縮して直接子宮腔内に注入する方法です。場合によっては排卵誘発剤を併用します。精子のほうもできるだけ良い条件にするため、3~4日前から禁欲し、人工授精をおこなう日の朝、精液を採取します。
子宮内人工授精は、1799年にイギリスで逆行性射精の男性で最初に成功して以来の歴史があります。日本では1949年に初の赤ちゃんが、第3者の精子を使った非配偶者間人工授精(AID)で誕生しました。
人工授精が適応されるのは、
●精子減少症(軽度)や、精子無力症(軽度)がある場合
●性交障害
●精子の進入障害(頚管粘液不全など)
などですが、タイミング法の次のステップとして、広くおこなわれています。
人工授精の妊娠率は、現在のところ5~8%程度と低いものです。
人工授精には、配偶者間人工授精(AIH)と、夫以外の精子提供者の精子を用いておこなう、非配偶者間人工授精(AID)があります。
(大牟田天領病院婦人科部長 吉田 耕治先生監修)
私は『体外受精レッスン』という著書の中で、人工授精には「3つの壁」があると書きました。その壁とは、
1)自然妊娠をあきらめてしまうということ
2)人工という言葉の響きがとてもネガティブであるということ
3)妊娠率そのものが低いということ
こうした人工授精「3つの壁」に対する注意点は、以下になります。
「不妊ルーム」から人工授精を希望されて紹介状を書く際には、人工授精をおこなっていても自然妊娠をあきらめないようにと指導しています。
また、人工授精で陥りやすいのは、気持ちがバーンアウトしやすいということです。これは10回以上人工授精を経験された女性などと話をして、痛感することですが、最初の2、3回までの人工授精では、「妊娠できるのでは」という期待を持つのです。これが5、6回目ともなると気持ちが惰性的になってしまい、10回を越える頃になると、人工授精と妊娠とつながらないと思ってしまうのです。
さらに、人工授精を受ける際に気をつけないければいけないことは、排卵のタイミングに人工授精をミートさせるべく、排卵誘発剤(注射薬hCG)が頻用されるということです。この薬を多用すると、卵子、卵巣の老化を早めてしまうと指摘されています。ですから、hCGの注射をすすめられたら、「自分たちでもタイミングをとりますから注射は結構です」と、拒否することも可能だと思います。
不妊治療は第二段階の人工授精から自由診療となります。自由診療は保険診療に比べ医師の裁量権も大きいのですが、そうであれば患者の決定権も大きくていいと思います。
私は不妊治療で人工授精や体外受精を視野に入れているカップルには、自分たちを患者と意識するのではなく、"消費者"という意識を持つことが大切だと指導しています。
不妊は多くの場合、妊娠を望まなければ、日常生活上不都合を感じないことも少なくないのです。ですから、ぜひとも"消費者"という自覚を持っていただきたいと思います。




